こんにちは、切削チームの石川です。
今回は先日行われた社内勉強会の様子をお届けします。
製造業の顧客やサプライヤに関する勉強会を行いました
DTダイナミクスではmeviyを開発しており、自分たちが関わっているサービスの業界知識を学ぶための勉強会を先日行いました。
装置などで使われる部品を注文するにあたっては、以下の流れで設計や注文が行われます。
- メーカーの設計者が装置や部品を設計
- 設計者から購買部門へ図面が展開される
- 購買部門から加工業者(サプライヤ)に発注が行われる
箇条書きにすると非常にシンプルですが、実際の部品の受発注では
- サプライヤが2Dの図面での見積にしか対応しておらず、相見積もりする上で3DのCADデータを2Dの図面に落とす必要がある
- CADのライセンスが(用途の割に)高い
- どのようにして自社に合ったサプライヤを見つけるか?
- どのようにして顧客(メーカー)を見つけるのか?
といった課題が随所に存在します。
勉強会ではPdMの方が上述した部品発注の流れや課題に関して解説し、部品を注文する際のやり取りを過去の経験を元にロールプレイング形式で再現する場面もありました。
勉強会は3回の日程に分けて行い、3回目ではいくつかのチームに分かれて勉強会の内容をもとに「ものづくりに関わる方々の課題と打ち手」というテーマでチームごとにビジネスのアイデアをプレゼンしました。
3回目はプレゼン形式でのグループディスカッション
3回目の勉強会では「このようなサービスを使うことでこれだけの時間的な効果が見込める」のような内容を(マネーの虎のように)プレゼン形式で発表しました。
発表内容としては以下のようなものがあり、同じテーマに対して別の視点から考えられた解決策が説明されていて勉強になる部分が非常に多かったです。
- 実際に製造可能な形状に沿ってモデリングができるCAD
- 自動リネームやバージョン管理機能が付いていて安価に使える図面管理システム
- キャパシティや管理体制、検証の体制を考慮したサプライヤの評価システム
私のチームで行ったプレゼン
私のチームでは3DのCADデータをアップロードするだけで2Dの図面を生成し、meviyやお客様と付き合いのある加工業者さんに発注できるシステムをプレゼンしました。
meviyはこれまでにWeb広告だけでなくテレビCMや展示会など含めてさまざまな手段でサービスの認知を広めてきましたが、部品の受発注においてはいまだに2Dの図面を作ることが必要で、「相見積もりするために3Dデータを2D図面にする」という作業がまだまだ残っています。
そのような現状に対してmeviyの2D図面作成機能を使うことで作業そのものをなくせないか?既存のmeviyのサービスを連携させることで解決できないか?という観点で新しいシステムを提案しました。
チーム内で議論した結果、meviyのサービス間の連携と専用のシステムの開発でいけそうという結論になり、システムの構成を解説した上で売り上げなどの定数的な効果とともに説明しました。
技術的な観点ではちょっと頑張ればできそうといった印象ではありますが、市場規模や数値的なインパクトを計算してみると想像以上に大きかったです。
もちろん算出した数値が計算通りにいくかといえばそうでもなく、実際には認知を広めるなどの活動が重要になるのは言うまでもありません。
勉強会を通して勉強になったこと、苦労したこと(エンジニア視点)
全3回の勉強を通して、エンジニアの私としては以下の点を学ぶことができました。
苦労したことも一緒に載せておきます。
勉強になったこと
- 部品が発注される流れやリピートされる仕組みを学ぶことができた
- meviyもお客様から見ればサプライヤの1つだということが改めて体感できた
- ヒアリング結果を数字にしてみると、意外とポテンシャルがありそうだった
プレゼンの内容を考える上では課題をチーム内で出し合い、根拠となる数値的なデータも探しました。
実際にデータを探してみると目的のものが出てこないこともあり、そういったものに対しては営業の方にヒアリングを行い、アンケート的に数値を取るといった形で対応しました。
ヒアリングをしてみると意外と多くの企業で2D図面への変換作業が行われていることがわかりました。
苦労したこと
- 部品を設計・購入する経験は個人だと積みづらく、発表の内容を考えるのがきつかった
- 現実的にお金を産みそうな機能を考えるのがちょっと大変だった
- まだ公式なデータがない数値をヒアリングから推定する必要があった
私自身は大学院の時に治具の製作を依頼したりCADを描いたりしていましたが、企業の人として部品を発注したり受注したりする経験はありませんでした。
「予防ではなく解決策を売る」のような考え方はわかっていても、実際の製造業ではどのような購買プロセスで購入・リピートされるかの知見が不足していました。
そのためチームメンバーの力を借りながら、実際にニーズがありそうな機能を探っていきました。
BtoBの製造業において部品を設計・購入する経験は普通に生活しているとほぼ積めないので、一人では考えるのがなかなかに難しかったです。
ニーズがありそうな機能のアイデア出しをしてプレゼン資料を作っていく中で、お客様やサプライヤ様のニーズがわかったり、meviyの存在意義やポジショニングの理解を深めたりすることができました。
また、私のチームでは前述したように「既存のmeviyの機能を駆使して解決できないか?」という観点で発表内容を考えました。
エンジニアの間では最新の技術だったり大規模な開発だったりが注目されがちですが、実際にサービスや新規機能をリリースして売上を作る上では既存のものを組み合わせてシンプルな構成でスピーディーにリリースするというのも大事だと思います。
「動けばいい」でリリースを優先するとメンテナンスが大変なシステムができあがりますし、技術だけにフォーカスすると「そのUIや機能でお客様に価値が伝わるのか?売上につながるのか?」という視点が欠けてしまうので、エンジニアとして働く上でバランス感覚は欠かせませんね。
まとめ
企業の中の人として部品を受発注した経験がなくグループディスカッションの準備は大変でしたが、知らないことを調べたりメンバーに質問したりして取り組んだことで、非常に学びの多い勉強会になりました。
グループディスカッションでは実際のシステムを考えてプレゼンするということで、実際の数字を使ってニーズのあり・なしを考える、どうやってマネタイズするかも考えるという取り組み方をしました。
自分のチームの発表はプレゼンされた中でも一番シンプルで、普段の開発からもイメージしやすく馴染みのあるものでしたが、数字のポテンシャルを計算してみると意外と大きい数字になったりして面白かったです。